⑦逃げ癖のある人が目指すべき仕事(各論1)

「逃げ癖と研究室不登校」シリーズ第7回。初めての方は第1回からどうぞ。第6回を踏まえ、逃げ癖のある人が就くべき仕事を具体的に考えていきます。

 

就くべき仕事の評価基準(再掲)

 

解説するのは業務独占資格で、かつ平均月収が30万円以上の職種のみです。決め方は私のフィーリングですのであしからず。細かな情報は各自でどうぞ。

  1. その職業に就くこと自体が困難か(参入障壁の高さ)
  2. 資格を取得できなかった場合に方向転換しやすいか(退路の確保)
  3. 新卒で仕事を得やすいか(就活の簡単さ)
  4. 雇用の流動性が高いか(転職しやすさ)
  5. 需要が一気に途切れないか(業界の安定性)
  6. 業界内の競争が激しすぎないか(競争の少なさ)
  7. 別の職業に移ってもその資格・経験は役立つか(経験の汎用性)
  8. 金銭的報酬が期待できるか(収入)

【注】収入に関しては政府による資料*1のみでは細かな部分が不透明だったため、職業一覧・給料年収リスト(50音順) | 給料BANKから引用することとします。問題があった場合には該当箇所を削除します。

 

医療系資格

 

大学で専門の課程を修了しなければ資格を取得できないものは需要と安定性の観点から非常におすすめですので、きちんと書くこととします。

基本的にこれらの職種では大学を卒業して免許を取得してから大学院に入るので、逃げ道が完全に確保された状態で研究に臨むことができます。どうしても研究に進む可能性を捨てたくないならば、真っ先に医療系学部に入りましょう。

また、業務内容が極めて明確に定められていることも重要なポイントです。知っておくべきこと、やるべきことさえ押さえれば、あとは自分で考えなければならない余地が少なくなり、心理的にかなり楽になります。

注意点としては、命に関わるのでその場から逃げてはならないという状況も少なからずあるということです。したがって、入職後の専門分野については吟味する必要があります。例えば、医師ならば緊急手術のある外科系や救急科を避ける、看護師ならば回復期病棟・無床クリニック・介護施設で働くなどが有効でしょう。

医療系は究極の人助けなので、色々と理不尽なこともあるでしょうが、自分の職業の意義そのものに疑問を持つ機会は少ないでしょう。

 

医師【総合評価:SSR+】

結論から言えば、医師は他のすべての職種とは比較にならないくらい飛び抜けておすすめで、ほぼすべて最高評価です。ここまで逃げ癖のある人に向いている職種は他にありません。したがって、記述する分量もかなり多くなりました。

  1. 参入障壁の高さ【評価:SS】
    • 医学部医学科に進学し、所定の課程(通常6年)を修了し、医師国家試験に合格することが必須です。その難易度は言わずもがなですが、適性ガン無視で高収入が確定する変わり種の資格です。
  2. 退路の確保【評価:S】
    • 医師国家試験の合格率は90%(医学科6年生のみに限れば95%)程度と高めです。
    • 障壁はほぼ大学受験のみであり、諦めるタイミングも早めになるので、いくらでも方向転換できます。もちろん、多浪だと厳しくなりますし、入学したとしても中退率の高い大学では少し不安です。
  3. 就活の簡単さ【評価:SS】
    • 全国の医学生が一斉に研修先を決定します。都心部にある人気病院ばかりを希望しない限り、ほぼ確実に初期研修医としての職場が見つかります。
  4. 転職しやすさ【評価:SS】
    • 引く手数多です。特に初期研修および専攻医研修を終えて専門医を取得すれば、怖いものはないでしょう。医師数が飽和傾向にある診療科(精神科や皮膚科など)を避け、かつ都心部にある人気病院を目指さなければ、困ることはまずありません。
    • 定職につかずともむしろバイトで荒稼ぎできる数少ない職種です。
  5. 業界の安定性【評価:SS】
    • 医療全般の需要がなくなることは絶対にないでしょう。医師がAIに代替?その頃には大半の職種が消えてなくなっていますよ。まあ、放射線科とか病理科みたいな直接患者さんと関わらない診療科は危険かもしれませんが…
  6. 競争の少なさ【評価:SS】
    • 病院間での患者獲得競争も一勤務医として働く限りは無関係です。病院が潰れても次がすぐに見つかりますので。
    • 医学科の定員が(医師会のロビー活動によって?)しっかりコントロールされているため、今のところは弁護士のように同業との競争が激化する傾向はありません。
  7. 経験の汎用性【評価:SS】
    • 選択する診療科によってカラーが大きく変わるので、自分の興味・適性に応じて進路を微調整することがあります。
    • また、臨床医として働くのが嫌になったとしても、医系技官(公務員)になる道があります。冒険したいのであれば、医療系企業からのお誘いもあるでしょう。
  8. 収入【評価:SS】
    • 言わずもがなです。診療科によって違いはありますが、概ね平均月収は90万円近くあり、平均年収は1000万円を超えます。開業医になるならば競争要素が出てきますが、その場合はますます収入が上がり2000万円以上もザラです。

医師のデメリットをあえて挙げるならば、①非常に激務かつ責任重大であること、②全体として上下関係がはっきりした体育会系集団であることでしょう。①に関しては外科など特に厳しいものを控えて、眼科や精神科、リハビリ科などの穏やかで緊急手術が少ないところを選べば多少マシになりますし、一旦辞めてバイトしながらリフレッシュすることもまあ可能です。医系技官へ移っても楽になるでしょう。②に関してはある程度我慢しなければならないところですが、大学病院やそれに準ずる規模の大病院を避ければそこまで厳しい階層もないでしょう。

 

歯科医師【総合評価:SR+】

こう言うと怒られるかもしれませんが、単純に評価項目だけでみたら医師の劣化ver.かなといった印象です。現役歯学科よりも多浪医学科の方が良いです。

  1. 参入障壁の高さ【評価:S】
    • 歯学部歯学科に進学し、所定の課程(通常6年)を修了し、歯科医師国家試験に合格することが必須です。医学科に比べると入学しやすいのが良いです。
  2. 退路の確保【評価:B】
    • 歯科医師国家試験の合格率は近年60%台(国試浪人生に限れば50%以下まで落ちる)とかなり制限されており、入学した後のハードルが無視できません。
  3. 就活の簡単さ【評価:SS】
    • 医師同様のシステムで決定しますので、歯科医師の場合も問題ないでしょう。
  4. 転職しやすさ【評価:SS】
    • 入り口を狭めているだけあって、今後求人が減少するとは考えにくいです。
  5. 業界の安定性【評価:SS】
    • 患者さんに直接処置しなければならないので、外部からいきなり参入することなど不可能です。
  6. 競争の少なさ【評価:S】
    • 歯科医師の人数を制限する政策が取られていることからもわかるように、飽和状態であることが懸念事項です。しかし、口腔ケアの需要は今後むしろ高まっていくでしょうから、一旦歯科医師になることさえできれば、食いっぱぐれるまでに至るとは考えにくいでしょう。
  7. 経験の汎用性【評価:A】
    • 歯科のなかでも専門分野があると言っても、やはり一診療科のみしかできない点はかなりのマイナスポイントです。医師と比べると、臨床現場以外での需要は限定的です。
  8. 収入【評価:S】
    • 医師には及びませんがそれでも平均月収が60万円程度あり、勤務医でも平均年収は800万円程度ありそうです。ただし、保険適用外(矯正歯科・審美歯科)が占める割合も大きく、客商売の側面が強いので、腕や経営力に応じた収入の振れ幅も強く出ます。

 

薬剤師【総合評価:SR】

6年制なので医学科や歯学科と比べられがちですが少し毛色が違いますし、おすすめできない要素もあります。とは言っても、その安定性には定評がありますし、低偏差値の大学もあるため入学も比較的簡単です。一方で、高偏差値の大学は研究活動を必須にしている場合もあるので、要注意です

  1. 参入障壁の高さ【評価:S】
    • 薬学部薬学科で所定の薬剤師養成課程(通常6年)を修了し、薬剤師国家試験に合格する必要があります。
    • 言うまでもありませんが、4年制薬学部は薬剤師になれないだけではなく、カリキュラム的にも超絶地雷です
  2. 退路の確保【評価:S】
    • 国家試験の合格率は全体で70%程度ですが、薬学科6年生に限れば80%を超えます。歯科医ほど国試浪人が続くことは考えにくいです。
  3. 就活の簡単さ【評価:SS】
    • 製薬会社は別として、普通の病院やドラッグストアなら数撃ちゃ当たります。
  4. 転職しやすさ【評価:S】
    • 病院や調剤薬局、ドラッグストアでも働けますし、製薬会社に移る選択肢もあります。高齢化著しい地方でも求人があるため、一旦中断してもまたすぐに仕事が見つかるでしょう。
  5. 業界の安定性【評価:A】
    • 薬剤師の仕事はAIで代用できるのではないかとの批判が何かとあり、特にドラッグストアは不安なところです。とは言っても、袋詰めだけが仕事であるわけではなく、必要以上に心配するのも無用ではないでしょうか。
  6. 競争の少なさ【評価:S】
    • 経営側には熾烈な競争がありそうですが(病院周囲の調剤薬局乱立)、働く側が心配することもないでしょう。
  7. 経験の汎用性【評価:S】
    • 上記の通り、あらゆるところで働けるのが魅力的です。
  8. 収入【評価:B】
    • 平均月収は40万円弱で平均年収は500万円台に至るでしょう。全ての職種のなかでは良い方ですが、薬剤師になるまでの費用・時間・労力に見合うとは必ずしも言い難いところです。

 

看護師【総合評価:SR】

上記3つの医療職に比べると非常に資格を取得しやすいので、勉強がそこまで得意ではない方には非常におすすめです。ただし、現状では圧倒的な女性社会なので、その中でうまくやっていく自信がない男性には決しておすすめできません。また、医師同様に心身ともに疲弊します。

  1. 参入障壁の高さ【評価:A】
    • 4年制大学または3年制の短大・専門学校を卒業し、国家試験に合格します。
  2. 退路の確保【評価:SS】
    • 国家試験の合格率は90%台と高いです。4年制大学出身ならば、保健師および助産師の国家試験も受験できますので、逃げ道確保の観点ではベターです。
  3. 就活の簡単さ【評価:SS】
  4. 転職しやすさ【評価:SS】
    • ここまで需要が高い職種は他になかなかないですし、今後もさらに伸びることが予想されます。女性が多く離職者も多いので、困ることは一切ないでしょう。
    • 病院・診療所のほか、介護施設や保健所にも需要があります。
  5. 業界の安定性【評価:SS】
  6. 競争の少なさ【評価:SS】
  7. 経験の汎用性【評価:SS】
    • 医師ほどの安定感はありませんが、概ね同様です。
  8. 収入【評価:B】
    • 基本給は30万円台半ば程度ですが、年収は500万円を超えます。ただしこれは夜勤手当で稼ぐ形態によるものなので、体力が持たないと辛いです。それゆえ、他業種と比べて勤続年数での年収の伸びが期待できません。
    • 労働と収入という意味でのコスパはお世辞にも良いと言えませんが、それでもB ~ Gが軒並み素晴らしいので高評価のままです。

 

臨床検査技師放射線技師【総合評価:SR】

それ以外にもコメディカルの資格はたくさんありますが、専門の課程を修了しなければならず、かつ待遇も比較的良いものに限定すれば、ほとんどが除外されます。

医師の指示のもとで、臨床検査技師は血液や尿などから各種検査を、放射線技師はレントゲン撮影や放射線治療を実施します。

仕事によるストレスが医師や看護師よりも低いので、逃げ癖のある人には特に向いてそうです。また、こちらも勉強がそこまで得意ではない方におすすめです。

  1. 参入障壁の高さ【評価:A】
    • 4年制大学または3年制の短大・専門学校を卒業し、国家試験に合格します。
  2. 退路の確保【評価:SS】
    • 合格率は70~80%台です。看護師同様にまだ若い段階で適性を判断できます。
  3. 就活の簡単さ【評価:A】
  4. 転職しやすさ【評価:A】
  5. 業界の安定性【評価:SS】
  6. 競争の少なさ【評価:S】
  7. 経験の汎用性【評価:B】
    • これまでに挙げた職種に比べると検査機器がなければ仕事ができないので、設備の充実した病院や保健所などに限られてしまいます。民間企業の治験コーディネーターなどの選択肢も一応はあるようです。
    • 技術の発展とともに検査の自動化が進んでいるため、求人が今後上昇することはあまり考えにくいです。しかし同時に、新しい検査・治療手法も生み出されていくことが予想されるので、職を失うこともまた考えにくいでしょう。
  8. 収入【評価:B】
    • これら2つの職種では平均月収が30万円台半ばで、平均年収は400万円台半ばです。

 

救命救急士【総合評価:R】

救命救急士(とそれになるために必須の消防士)は平均月収は35万円程度もらえるそうですし、やりがいも非常にあることでしょう。最近は裁量も広がりつつあります。が、その職場である事故現場や救急車というのは最も逃げてはいけない状況といっても過言ではなく、逃げ癖のある人にとっては辛いかもしれません。力仕事メインですし、本シリーズが想定する勉強が嫌いではない方とはあまり特徴が合わないかと思います。

 

その他の医療系資格職(参考)

理学療法士作業療法士視能訓練士、臨床工学技士、義肢装具士、はり師、柔道整復師、歯科衛生士など大量にありますが、いずれも待遇(平均月収が30万円未満)の観点からおすすめできません。やはり命に関わるので国家資格の数が非常に多いです。

ちなみに、理容師・美容師も医療職同様に厚労省管轄でした。よく考えればまあそうですよね。

 

法律系資格

 

国は法律によって運営されているので、法律職は食いっぱぐれにくいものの筆頭でしょう。全ての企業活動に関わることですので、一般企業への就職にも非常に役立ちます。文系が目指すべき資格として、特におすすめされます。開業次第で収入が大きく変わるようです。

 

司法試験(弁護士/検察官/裁判官)【総合評価:SR】

試験公式HP*2

司法試験合格者は上記の3職に就くことができますが、それぞれで特徴が異なるので、評価が異なる場合は"/"で分けることとします。特に弁護士は実力とキャリア次第で行く末が大きく変わってくるので、非常に評価しにくいです。高い難易度と失敗した場合のリスクを考慮するとコスパが良いとは言い切れず、私達にとっては必ずしもおすすめされない職種となりつつあります。

  1. 参入障壁の高さ【評価:SS】
    • まず、大学を卒業後に法科大学院(2年または3年)を修了するか、予備試験に合格した後、司法試験に合格します。その後、司法修習(裁判所・検察庁・弁護士事務所)を1年間こなし、考試と採用試験を突破することでようやく正式に弁護士/検察官/裁判官となります。
    • 司法試験の制度改革以降は合格率は30 ~ 40%程度と低すぎることはありませんが、合格に必要な時間は3000 ~ 8000時間と言われており、その人の元々の頭の良さ次第で大きく変わってきます。
    • なお、予備試験は東大法学部の上位層とか医学科の変態が狙ってくるレベルでかつ合格率は3 ~ 4%程度と難関なので、これ前提でキャリアを考えるのは難しそうです。大人しく法科大学院進学込みの計画を立てましょう。
  2. 退路の確保【評価:C】
    • 最大の懸念事項です。法科大学院修了までストレートでも通常24歳で、そこから試験に専念して5年連続不合格ならアラサー職歴なしの出来上がりです。
  3. 就活の簡単さ【評価:S/B/B】
    • 検察官や裁判官になるには司法試験と司法修習で優れた成績を修める必要があるようです。弁護士でも人気の大手事務所は上位合格や予備試験合格、あるいはこれまでの経歴が優れているかを考慮するようです。
    • 司法試験制度の改定に伴う難易度低下・合格者増加の結果、これまで一般的だった「イソ弁(特定の事務所で雇用され、その事務所の案件に携わる)」にもなれず、即座に独立せざるを得ない人も出てきているようです。
  4. 転職しやすさ【評価:SS】
    • 法律系の仕事は何でもできる最強の資格の一つです。裁判所・弁護士事務所のみならず、企業や官公庁など至るところに需要はあります。
    • 検察官や裁判官はそれまでの経験を生かして弁護士に転向することも可能です。
  5. 業界の安定性【評価:SS】
    • 司法の需要が一気になくなることはありませんが、細々とした雑用が機械化された結果、若手が割を食らうことは想定されます。とはいっても、もっと困るのは資格のない事務職の方でしょう。
  6. 競争の少なさ【評価:S/SS/SS】
    • 弁護士は競争が激化したため、力のある事務所に入り、きちんと経験と実力を身につけてはじめて不安が払拭されるでしょう。
    • 検察官や裁判官は公務員なので出世競争はあるかもしれませんが、職を失う心配はありません。
  7. 経験の汎用性【評価:SS】
    • 企業や官公庁で働くという選択肢もありますが、そこからの逃げ道が考えにくくなるので、まずは裁判所や弁護士事務所で独自の強みを持つことが大事かと思います。
    • 弁護士資格を得れば、弁理士・税理士・社会保険労務士行政書士・海事補佐人などあらゆる資格職に登録できます。経験に応じてうまく立ち位置を調整することが可能です。
  8. 収入【評価:S/A/A】
    • 弁護士の収入はあらゆる職種の中でもかなり高く、平均月収が65万円程度です。事務所勤務であれば1000万円弱で、開業すれば腕次第で青天井のようです。
    • ただし、収入の変遷には注意すべきで、新司法試験制度以前の2006年に比べて2018年ではほぼ半減しているのが不安要素です*3
    • 検察官および裁判官は完全に年功序列です。最初は基本給24万円程度から始まりますが、10年で基本給50万円程度まで上昇します。弁護士のような振れ幅がなく安定しますが、逃げにくいのが最大の難点です。後ほど記述しますが、公務員は一長一短なので、よく考えて選択しましょう。

 

司法書士【総合評価:R】

試験公式HP*4

裁判所や法務局などの官公庁に提出する書類の作成・手続きを行うほか、登記手続きも行います。司法試験の影に隠れていますが、地味にかなりの難関です。法学部生がわざわざ目指す価値は感じません。

  1. 参入障壁の高さ【評価:B】
    • 受験資格はありませんが、合格率が3~5%程度の厳しい国家試験を突破しなければなりません。
  2. 退路の確保【評価:B】
    • 3000時間程度の対策が必要と言われており、これだけに数年対策する必要があります。
  3. 就活の簡単さ【評価:A】
    • 誰でもいつでも受験できるため、新卒・既卒のくくりがなく、はっきりとは分かりません。
    • 司法試験と違い在学中に取得できます。その希少価値から一般企業への就職には役立ちます。
  4. 転職しやすさ【評価:A】
    • 司法書士事務所に就職するほか、企業の法務部・総務部で働いたり、開業する方法があります。ただし、持っているだけで引く手あまたにはならないようです。
  5. 業界の安定性【評価:A】
    • 成年後見業務や相続登記、簡裁代理権(小規模の民事裁判)など扱う内容が多様ですし、法律は変わるものですから需要は安定してあるとは考えられます。
    • ただ、弁護士同様に定型的な仕事よりもコンサルタントとしての役割が増えてくるでしょう。
  6. 競争の少なさ【評価:B】
    • 登録者は現在22000人程度で増加傾向で、将来が心配です。
    • 弁護士も経験次第で同じ仕事が出来ますので競合しえます。
  7. 経験の汎用性【評価:B】
    • 基本的に別の職種に一気に移ることは考えにくいです。
  8. 収入【評価:A】
    • 平均月収は50万円程度との話ですが、事務所勤務であれば平均年収400~600万円といったところです。難易度の割には低めに出ます。

 

行政書士【総合評価:R+】

試験公式HP*5

司法書士との違いがわかりにくいですが、司法書士の業務から「登記・相続・裁判などの専門的な司法の手続き」を引き、「営業から自動車登録まで各種一般生活の手続き」を加えた、より広く浅いものだと考えれば良いと思います。およその雰囲気はかぶるのでざっくり省略します。

司法書士の方が専門性があって便利な資格ですが、在学中にまず逃げ道を確保するという観点では、行政書士の方がコスパが良いと感じます。

  1. 参入障壁の高さ【評価:C】
    • 合格率は10%強程度で、司法書士よりもなりやすいと言えます。
  2. 退路の確保【評価:A】
    • 必要な時間も1000時間程度と、司法書士よりもサンクコストが低めです。
  3. 就活の簡単さ【評価:A】
  4. 転職しやすさ【評価:B】
  5. 業界の安定性【評価:A】
  6. 競争の少なさ【評価:B】
    • 登録者数が多い分(45000人程度)、競争は激しくなります。資格単体では強みとなりません。
  7. 経験の汎用性【評価:B】
  8. 収入【評価:B】
    • 平均月収は事務所勤務であれば30万円台半ばで司法書士よりは下がります。

 

社会保険労務士【総合評価:R+

試験公式HP*6

通称社労士。厚労省管轄ですが医療の現場に直接関わるわけではなので、こちらにまとめます。各種保険や厚生年金などの手続き事務を担当します。

  1. 参入障壁の高さ【評価:A】
    • 大学で所定の卒業単位を取得するか(学部は問いません)、あるいは一定期間の実務経験をこなす必要があります。
  2. 退路の確保【評価:A】
    • 合格率は7%程度と難関ですが、対策時間は1000時間程度とそれほど厳しいものではありません。
  3. 就活の簡単さ【評価:B】
  4. 転職しやすさ【評価:B】
    • 社労士事務所自体そこまで多いわけでもないので、少ないパイの奪い合いになりえます。その場合は実務経験が優先されるようです。
    • 一般企業の人事部門、官公庁で働くことができるほか、開業する手も一応はありますので、決して無駄という資格ではないでしょう。
  5. 業界の安定性【評価:C】
  6. 競争の少なさ【評価:C】
  7. 経験の汎用性【評価:B】
    • 細々とした手続きや計算が職務内容ですが、これらは機械による効率化が期待される領域です。需要の拡大を見いだせるのは高齢者相手のコンサルタント業務でしょうか。非資格職と同様、主体性が求められます。
  8. 収入【評価:B】
    • 平均月収は35万円程度ですが、他の士業同様に差が大きいです。

 

流石に長くなりすぎたので、残りは次の投稿に回すとします。なお、各業種について詳しい方で、訂正あるいは補足すべきことがあると感じた方は、ぜひご指摘ください。

 

次→⑧逃げ癖のある人が目指すべき仕事(各論2)