①逃げ癖のある学生は研究室に入るべからず

これから始める一連の投稿(全10回予定)で、私は「逃げ癖のある学生は、研究室配属および卒業研究が必須となる大学・学科に決して進学してはならない」ということを強く主張します。

 

逃げ癖×研究室配属=死

 

多くの大学・学科では大学4年生でそれまでの集大成として、1年ほど特定の研究室に所属して卒業研究を行い、卒業論文を提出することになります。しかしながら、これまで学校やら部活やら普通の人が普通に乗り越えてきた物事から逃げてきた「逃げ癖」のある人は、研究活動との相性が特に最悪です。よく考えもせずに研究室に所属してしまうと、心を病み(精神的死)、その後の進路に不可逆的な悪影響を及ぼし(社会的死)、最終的に自殺にまで至りかねません(身体的死)。

私は自らの適性について深く考えないままに研究室に所属した結果、不適応を起こし、敗走することとなりました。極端すぎる主張だと思われたかもしれませんが、まあひとまず暇つぶしがてら今後の投稿を見ていってください。

 

研究室の種類

 

研究室は「辛さ」と言う観点では、2種類に分類できると思います。すなわち、「ブラック研究室」と「ホワイト研究室」です。

ブラック、ホワイトという分け方は仕事とかでもよく使われるので、耳にしたことがある方も多いのではないかと思いますが、一応簡単に説明します。

  • ブラック研究室:拘束時間が長い、教授やその下の教員の性格が悪い、就活に対する理解がないなどの特徴があります。この結果、心身に不調をきたす学生がしばしば出てきます。
  • ホワイト研究室:拘束時間が短い、教授や上司が優しい、就活を優先させてくれるなど、学生に優しい環境です。普通に考えれば、ホワイト研究室にさえ入れば問題なく卒業できると思われるでしょう。

私はここで研究活動への適性には3種類あると主張します。

  • 1つ目はブラック研究室にも耐えられる人、すなわち「変態」です。これを乗り越えられたごく一部の人が教授になるという例もあるでしょうし、逆に大学院やその後のポスドク(任期付き研究員)で限界がくる例もあるでしょう。後者の場合では社会的に死にかねませんが、一度は研究にのめり込んだ人々であり、私が対象とする「逃げ癖のある人」とは性質が異なるのでここでは触れません。
  • 2つ目はブラックでなければそこまで苦にならない人、すなわち世の中の大学生の大半を占める「普通の人」です。これは研究に限った話でもありませんが、普通の人はよほどひどいブラックな環境でなければ、不満が多少あったとしても周囲との折り合いをなんとかつけ、やるべきことを最低限でもこなして、表面上はうまくやっていける能力を持っているものではないでしょうか。
  • そして3つ目が、ブラック・ホワイト問わず不登校となる人、すなわち「問題児」です。決して教員や先輩が過度に抑圧的・攻撃的なわけではなく、多くの人が無理なく卒業していける研究室であるのにもかかわらず、なぜか不適応を起こして失踪していく不可解な人たちです。これに当てはまるのは、「逃げ癖」ホルダーである場合が多いのではないかと私は推測しています。

 

「勉強ができる≠研究ができる」を大学進学の時点でしっかり伝えるべきではないか

 

高校時代に下手に勉強ができると、周囲から期待されて上位の難関大学旧帝大早慶など)に入学するでしょう。そのような大学は研究者養成を主要な目的として大きく掲げており、卒業研究も必須であることが多いです。そのことを深く考えずに入り込んでしまい、全く適性のない研究活動を始めた結果、精神崩壊して留年・中退してしまうことは、本人はもちろん家族や大学も含め、全員が不幸になってしまいます。

しかしながら、大学・教員側は労働力確保および後継者育成のため、研究の良い面ばかりを広報しています。研究室に入る前に、研究に対する適性についてきちんと検討してもらえることはまずありません。大学生の研究室不登校・中退に関する調査や論文も、私が調べた限りほとんどが研究室配属のメンタルトラブルの防止や対処、分析に焦点を当てていました。そもそも入らないという予防の方向性から論じたものは見当たりません。

また、研究室不登校および中退の当事者のものと思われるブログ等でも、「ブラック研究室の見分け方」や「大学中退の流れ」など、ワンテンポ遅い体験談が多く、決して歳下の同胞(?)の不幸の予防に役立つものにはなっていないのが現状です。

 

本シリーズの目的

 

これから始める一連の投稿で、「逃げ癖のある人が研究にどれほど向いてないか、そしてどのように研究室を回避し、その後のキャリアを選択するべきか」について検討していきたいと思います。私のような過ちを犯し、貴重な20代を無駄にし、さらにはその後長く続く人生に暗い影を落とす若者を、1人でも減らすことに貢献できれば幸いです。

 

本シリーズが想定する読者

 

  1.  「逃げ癖」があると自覚している、または自分には「逃げ癖」があるのではないかと疑っている全ての学生
  2. 勉強はそれほど嫌いではない、または現在は落ちこぼれつつあるものの、高偏差値の学校に受験で入学している全ての学生
  3. 大学に進学するつもりである高校生・浪人生
  4. 親族や知人に、性格的に将来を不安視される学生がいらっしゃる方
  5. その他、研究室不登校に関心のある方

本シリーズをお読みになって共感していただけましたら、ぜひ周囲の方との話のタネとしていただけますと嬉しいです。

 

注意事項

 

私は医学・心理学・教育学等の専門家ではありませんので、必ず自ら情報を確認してください。あくまで皆さんが進路について考えるきっかけを作ることが、本シリーズの趣旨です。私は無様な逃走経験を経て「アンチ卒業研究の鬼」と化したので、考えが偏っている場合もあるでしょう。あらかじめそれを考慮に入れた上でお読みください。

 

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