②逃げ癖のある人に「逃げるは恥だが役に立つ」か

「逃げ癖と研究室不登校」シリーズ第2回。初めての方は第1回からどうぞ。本題に入る前に簡単な自己紹介、「逃げ癖」や「研究室不登校」に関する参考図書の紹介、およびブログタイトルの「逃げ恥」の説明を済ませておきます。

 

自己紹介

 

自己紹介と言っておきながら申し訳ありませんが、固有名詞を隠しても身バレするレベルに経歴が特殊なので、特に研究室配属以降に起こったことに関しては、ガッツリぼかします。そもそも研究室に入ってしまうのを防ぐのが趣旨ですし、そこはどうかご了承ください。少なくとも逃げ癖が染み付いていることはお分かりいただけるかと思います。なお、もしこの投稿を見てあの人ではないか?と思った方は、そっと私にご連絡ください。

また、社会不適合者のくせに傲慢ではないかと思われる表現が今後しばしば出てきてしまうかもしれませんが、逆にそこは誤魔化すと、私と同様の不穏な要素を有する方々に実感を持って読んでいただきにくいかとも思いますので、なるべく率直に書くつもりです。こちらもあらかじめご了承ください。

  • 〜小学校:ここまでは問題ありませんでした…
  • 中学校:そこそこ有名な進学校に受験で入学。部活バックレ辞め。短期(トータル1ヶ月程度)の不登校。遅刻・授業サボり多数。学校行事たまにサボり。
  • 高校:内部進学。短期(トータル1ヶ月程度)の不登校。遅刻・授業サボり多数。学校行事ほぼサボり。バイトバックレ辞め。
  • 大学:国内トップクラスの大学に受験で入学。バイトバックレ辞め複数。ホワイト研究室バックレ2回留年2回。
  • 現在(アラサー):親の脛をかじりながら資格勉強。

 

「逃げ癖」と「研究室不登校」に関する参考資料

 

残念ながらこれらをピンポイントに解説してくれる文献は多くありません。需要が少ないのでしょう。

本ブログを読んで興味をいただけたならば、後ほど以下の2冊の新書をお手に取ることを非常に強くおすすめします。共に薄く読みやすいので、1日とかからないでしょう。

www.amazon.co.jp精神科医が逃げ癖をピンポイントで解説した唯一かもしれない一般書です。最初の足がかりになるでしょう。

www.amazon.co.jpひきこもりを長期にわたり取材してきたライターが、転落後の末路の実例を紹介しています。夢も希望もない形で終えているのが印象深く、それゆえに読む意義は大きいと思います。

大学教員による公式な解説もないわけではありません*1。しかし、厳密な分析がなされているものは見つかりませんでした。

海外では日本のように大学4年生で卒業研究を課すこと自体が多くないので、英語の文献をあたるのも得策ではないようです。その他、学生のブログや大学教官による非公式な解説もできる限り探してみましたが、おそらくすべて研究室配属の話であって後の祭りなので、研究室配属の皆さんにとってはそれほど有用ではないのかも知れません。

 

逃げるは恥だが役に立つ」のか?

 

今回の投稿の締めに「逃げるは恥だが役に立つ」について触れましょう。同タイトルの漫画・ドラマがヒットしたことで一躍日本人に広く知れ渡ることとなりましたが、元々はハンガリーの格言 「Szégyen a futás, de hasznos.」からきているそうで、恥ずかしい逃げ方だったとしても生き抜くことが大切と説いています*2。適切な挑戦と失敗を経て、厳しい逆境からの打開のために「逃げる」ことは、確かに推奨されるのかも知れません。より自分の輝ける場所を探すのが得策な場合はあるでしょう。

しかしながら、逃げ癖が染み付いている私達は「逃げ恥」を鵜呑みにしてはなりません。人生には踏ん張って立ち向かうべき状況もあるものですが、私達は普通の人が深く考えずに行えている、逃げることによるメリットとデメリットの計算ができません。これまでの「逃げ」の経験の蓄積によって、「fight or flight(戦うか、逃げるか)」の判断を適切に行う脳の情動回路が強烈に変化しているのです。

だからこそ私は自戒の意も込めて、ブログのタイトルをこれをもじったものとしています。まあ、今さら反省しても遅いのですが…

 

次→③なぜ逃げ癖のある学生は研究室に所属してはならないのか

*1:西利昌『理工系大学・高専の研究室不登校』工学教育 (J.of JSEE), 65–5, 2017, p. 2-7.

*2:逃げるは恥だが役に立つ - Wikipedia