⑥逃げ癖のある人が目指すべき仕事(総論)

「逃げ癖と研究室不登校」シリーズ第6回。初めての方は第1回からどうぞ。第5回で逃げ癖の数値化手法を提案しましたが、私と同様にヤバいスコアをお持ちの学生は、ぜひ今回の投稿を契機として、就くべき仕事について考えてみてください。

 

注意事項

 

毎回のように注意書きをしていますが、私はキャリアコンサルタントなどの専門家ではなく、書籍やWebサイト、あるいは各分野で働いている友人から得られた情報に自らの感想を加味して、一つの意見を示しているに過ぎません。実情と異なる場合もあると思われますので、必ず各自で信頼できる情報源を確認するようお願いします。

【高校生・浪人生以下の方】学部・学科選択に関する記事はこの後に投稿します。というのも、就くべき仕事を決めてから、入る学部・学科を決める方が見通しが良いからです。逃げ癖のある私達は進路選択を先延ばしにしがちですが、後できちんと考えて決められるはずもありません。特に私達に適した仕事はかなり限られているので、さっさと進むべき方向を決めてしまうべきです。

 

逃げ癖のある学生のキャリアの選び方

 

逃げ癖のある学生が周りの普通の人と同じように進路を考えることが危険であることはもうお分かりいただけたかと思いますが、実際どのように考えればよいのでしょうか。私は以下のようなポイントが重要であると考えています。

  1. 個人プレーの努力のみで入職にまで至ることができるか?
    • あなたは集団のなかで上手に立ち回ることが苦手なのですから、不確定要素は避けるべきです。筆記試験・個別面接・個別実技試験のみで決まるのが好ましいです。
  2.  入職できなかった場合でも別の道を考えやすいか?
    • 採用手順が特殊なものの場合は、ダメだった場合に諦めて方向転換しにくいと詰みやすいです。
  3. もし退職したとしても、すぐに次の職場を見つけやすい業種か?
    • あなたはよほど環境が自分にフィットしなければ、どうせ逃げるでしょうし。
  4. 社会情勢によって、仕事が一気になくなるということがないか?
    • 逃げにくい状況に陥ることは避けたいところです。
    • 「その方が仕事にしがみつくというインセンティブが出るのでは?」と思ったあなた、私達はまともな期待値計算ができないことをお忘れなきよう。後先考えずに私達は逃げ、そして詰みます。
  5. 厳しい能力主義、勝ち負けがハッキリつくなど、逃げたくなるポイントが多すぎないか?
    • 逃げられる状況にあったとしても、やはり逃げるという選択肢が出てくるタイミングが少ないほうが望ましいです。
  6. たとえ他の業界に転職したとしても、これまでの蓄積が活かせるか?
    • 場合によってはその業界自体から逃げたくなる場合もあるでしょう。やはり複数の業界で役に立つ資格・スキルがある方がベターです。
  7. 金銭的にも心理的にも報われる業種であるか?
    • これはすべての人にも言えることだとは思います。が、逃げ癖のある私達は特に、現在の環境の欠点に対する我慢の限界点が低いので、無視できません。
    • 特に「やりがい」は重要です。私達には辛い世の中でもあえて生きていく目的や喜びが欠如しており、仕事にそれを見いだせるかどうかで自暴自棄(最悪自殺まで)に至る可能性が大きく変わってくるのではないかと想像しています。

残念ながら、これらすべてを満たす仕事は限りなく少ないです。

 

大学在学中にすべきこと

 

第3回でお話しました通り、最優先なのは取っておけば死ぬことはないだろうという業務独占資格を取得して、逃げ道を確保することです。しっかり勉強しないと受からないものを目標としつつ、余力に応じて回数さえこなせばそのうち必ず受かりそうな簡単〜普通のものも保険で取得しておくという方針が、精神衛生上よろしいかと思います。

なお、定番の非業務独占資格や英語試験は就活では大いに役立つものの、それがあるだけで救われる状況は想定しにくいです。例えば以下のようなものが挙げられます。

業務独占資格と比べると、採用にあたって企業側が私達に何を望んでいるのかが明確になりにくいです。優先度はかなり下がるでしょう。

追加で補足しておくと、大学の定期試験で良い成績を修めることだったり、課外活動(インターン・サークル・ボランティア・留学・起業など)に力を入れることにも、私達にとってはそれほど意味はありません。確かに最初の就活では役立ってくれるかもしれません。しかし、再三お伝えしていますように、私達は一つの職場に長く居続けられると考えてはいけません。短期間で抜けてしまう可能性が高く、一つの大きな仕事に継続して取り組んで成果を残すことなど非常に困難です。転職歴と空白期間で履歴書がどんどん悪目立ちしていき、大学時代の優れた経験など埋もれていく事態も想定されます。「ヤバそうなやつだけど、この仕事に必須の資格持ってるし…」という流れで採用してもらえることを期待する方が、よっぼど現実的でしょう。

 

理系・文系に分けた総論

 

【理系の場合】圧倒的に医療系資格がおすすめです。難易度が高いものから低いものまで、学力に応じた選択肢の幅が広く、また取得後の安定性にも期待できます。とりわけ特定の学科を卒業しなければ受験できないものは参入障壁も高く、最も逃げ癖のある人物に適しているといえます。大学進学前であれば、たとえ医療に全く興味がなかったとしてもとりあえず医療系学部を目指すくらいで良いと思います。そもそも、医療系以外の理系は卒業研究が必修な場合が多い上、就職後の安定性にも疑問が残りますので、私達には不適切でしょう。

【文系の場合】こちらはやや判断が難しいです。文系の最高峰の資格としては公認会計士や弁護士(司法試験)が挙げられ、こちらは確かにほぼ勉強のみで取得できます。その有用性も高いものの、近年は同職間での競争が激化しているのが辛いところです。ただし、それほど難易度が高くない資格にも有効なものもありますし、理系と比べて拘束時間が短く、卒業研究が必修ではない場合も多いというメリットを活かして、複数の資格を並行して狙えるメリットはあるかと思います。

 

就くべき仕事の評価基準

 

さて、まずは評価基準をまとめました。以下の項目にしたがって、逃げ癖のある人における各職種のおすすめ度を決めることとします。評価しにくい項目も多く、そこは私のフィーリングですので、例のごとく情報の取捨選択はご自身で。

  1. その職業に就くこと自体が困難か(参入障壁の高さ)
  2. 資格を取得できなかった場合に方向転換しやすいか(退路の確保)
  3. 新卒で仕事を得やすいか(就活の簡単さ)
  4. 雇用の流動性が高いか(転職しやすさ)
  5. 需要が一気に途切れないか(業界の安定性)
  6. 業界内の競争が激しすぎないか(競争の少なさ)
  7. 別の職業に移ってもその資格・経験は役立つか(経験の汎用性)
  8. 金銭的報酬が期待できるか(収入)

上記に加えて、やりがいがありそうかなどのさらに主観的な感想を加味して総合評価を決定します。総合評価は親しみやすく(?)、ソシャゲのガチャ形式で示します。あくまで私達逃げ癖のある人に適するかというのが最大の関心事項なので、必ずしも難易度や知名度、高待遇などの世間一般の評価に見合ったものとはなりません。およそ以下の通りとします。

  • SSR:全く言うことなし
  • SR:全体として素晴らしいが、不安要素もある
  • R:最初に考える類のものではないが、状況によっては目指す価値も大きい
  • N:あまりおすすめできない

可能な限り、各資格試験を主催している団体の公式サイトや政府の統計サイト*1を参考としています。

無料のWEBサイトとしては以下がまとまっています。興味を持った際はむしろこちらで細かく調べてみてください。

shingakunet.com

shikakutimes.jp

kyuryobank.com

 

検討する職種の限定

 

全部挙げていたらキリがないので、「業務独占資格」の職種に限定します。「名称独占資格」あるいは「必置資格」単体では考慮しません。これら2つは試験を受けるための条件や難易度の縛りも少ないですし、そもそも「業務独占資格」に含まれている例も多いです。定義は以下の通り*2

  • 業務独占資格:その資格を有する者でなければ携わることを禁じられている業務を、独占的に行うことができる資格
  • 名称独占資格:資格取得者以外の者にその資格の呼称の利用が日本の法令で禁止されている資格
  • 必置資格:ある事業を行う際に、その企業や事業所にて特定の資格保持者を必ず置かなければならないと日本の法律で定められている資格

それでもまだ多いので、待遇が悪いもの(職種全体の平均月収が30万円未満)は説明を除きます。取得条件が緩い場合も多く、わざわざ大学在学中に狙う必要もないですし。

具体例は次回以降に分けることとします。

 

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